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ビジネスでモデルを活用するための7つのステップ

ビジネスでモデルを活用するための7つのステップ

モデルはデータを高度に活用する手段

最近、”ビッグデータ”や”機械学習”などのバズワードに踊らされ、経営サイドから「データを活用して何とかしろ!」などという無理難題を突き付けられ、現場が悲鳴を上げるようなケースがあるようです。しかし、何となくデータを使っても全く上手くいきません。都合のよい”魔法の杖”などどこにもないからです。

FEGは機械学習を活用した予測モデル(以下、「モデル」)のスペシャリスト集団です。モデルはデータを高度に活用する手段です。私たちは20年以上に渡ってモデルを作り、運用を支援してクライアントの業務に貢献してきました。そこには流行に流されることのない確かな力があるとの自負があります。本記事では、FEGでの典型的なプロジェクトを7つのステップに整理しました。モデルの活用に向けた仕組み作りの舞台裏を紹介したいと思います。

Step1目標・課題認識

すべては、ビジネスの目標を定めた上で現状とのギャップ(課題)を明らかにするところから始まります。その課題を解決するためにモデルを1つの手段として適用することを構想します。もちろん、ビジネスなので課題解決が何らかの収益拡大につながらないといけません。この一連のストーリーを描けるかどうかが初めの一歩です。従って、このステップではビジネスとモデルの両方に精通する人間の参画が鍵となります。

Step2データ収集・加工

企業内では、分析に必要なデータは複数の部門に散在しているケースが多いものです。このため、データ収集に時間がかかることがあります。しかも、きちんとデータベースで管理されていればよいですが、Excelなどで管理されているような場合は、複数列が統合されているかもしれません。データを利用するために加工が必要になるなど“地味に苦労が多い”プロセスになります。

Step3データ理解

モデルを作るのに必要なデータが揃ったらデータの性質を調べて、理解を深めます。先ずは、項目やコード値の意味などデータの基本的な属性を調べていきます。次に、単純な集計を繰り返していくことでデータの”背後”にある顧客の実像について理解を深めていきます。例えば、銀行業界のテーマであれば、どのような行動をする顧客がローンを借りるのか?といった問いを立て、口座の動きに関する項目を集計することで理解を深めて行きます。

このフェーズがとても重要です。最近では全自動でモデルを構築するようなツールが登場してきていますが、それだけでは顧客の実像に迫ることはできません。多くのデータ(口座取引データ、WebアクセスログやPOSデータ・・・など)は行動の結果にすぎません。したがって、行動に至った原因はデータの”背後”に隠れてしまい、通常は観測できないのです。私たち分析者は単純な集計から手掛かりを探っていきます。納得感の高いよいモデルを作るためにはどうしてもこのプロセスが欠かせないのです。

Step4分析データ作成

データについて理解が深まってきたら、モデルを構築するためのデータを仕上げていきます。予測対象(目的変数)とその要因を数値として表現した指標(説明変数)を整理していきます。例えば、個人ローンの貸倒れ(デフォルト)を目的変数とするのであれば、預金減少率などが説明変数の候補になります。

モデルを作るためにはこの目的変数を定義する必要があります。そのためには、Step1の目標や課題の認識が不可欠です。一方、予測に有効な説明変数を作成するためには、Step3でのデータの理解が土台になります。このように前段のプロセスを基礎にしてモデルが出来上がっていきます。

Step5モデル構築

このステップまできてようやく機械学習のアルゴリズムを適用したモデルを作ることができます。学習アルゴリズムとしては、構造が明示されるホワイトボックス型のロジスティック回帰や判別ツリーなどを用いることがFEGでは多いですが、分析テーマによっては勾配ブースティングやニューラルネットワークなどの高精度なブラックボックス型を用いる場合もあります。実務では、Step3~5を繰り返すことでモデルの精度を向上させていきます。

Step6システム実装

モデルを作っただけでは意味がありません。活用して初めて価値が生まれます。そのために、モデルはシステムに実装されるケースが多いのです。本記事では、モデル活用に向けてのステップを書きましたが、システム開発では要件定義や基本設計などのステップがあります。FEGのプロジェクトではモデル構築とシステム開発を同時に進めていくケースが比較的多い状況にあります。

Step7業務運用

モデルを実装したシステムの運用が開始されると、ここで初めてモデルが価値を生むステップになります。例えば、銀行でのマーケティングでは、個人ローンのキャンペーン時に申込を予測するモデルを活用してSMSやDMを発信するなどの施策を実施します。その後に施策の効果を測定することで、次のキャンペーンに向けた課題を導き出すといったPDCAを回していくのです。

しかし、残念ながらこのようなPDCAを上手く回せずにせっかく作ったシステムが宝の持ち腐れになるケースも少なくありません。原因としては、担当者が機能を使いこなせないことや、そもそもStep1の課題設定の誤りなどが挙げられます。このような事態にならないようFEGではモデルやシステムの活用をサポートする業務を行っています。

モデルを活用するまでの長い道のり

モデルを活用するまでの長い道のり

データがあればモデルは何となく出来たりもしますが、業務で運用して実際の成果を上げるとなると一朝一夕には成しえません。経営サイドと現場が一体になって中長期的な視点で取り組む必要があります。

モデルの活用は苦労の多いプロセスですが、正しく努力すれば得られる果実も大きいものです。データを継続的に分析する環境が出来上がるために、従来以上に顧客の実像に迫ることができます。これを基礎として未知の課題や新たなソリューションに関する知見が得られることも決して珍しいことではないのです。

参考文献

[1]原田慧,本橋智光,加藤 亮,西川大亮. 「データサイエンティストの思考法. インプレス」2015. http://it.impressbm.co.jp/category/c320040(accessed on 2016-11-30)

[2]加藤 亮. 「機械学習による個人ローン審査業務のイノベーション」. エストレーラ. 2016/11, No.272, p.2-8.